介護職員として働くと、いろいろな壁に突き当たり退職を考えるきっかけになります。
その壁は人それぞれで、人によっては突破の難しい壁だったり、簡単に突破できたりもします。
「誰もこんなことで悩んでいないのに、自分だけこんなことで悩んでるなんて……。」
「自分はなんてダメな人間なんだ……。」
「まだ働いて1ヶ月しか経っていないのに、辞めたくて辞めたくて仕方ない……。」
「辞めたとしても他の職場も同じだろうから、この職場で耐えるしかないのはわかっているんだけど……。」
介護職を辞めたくなるのは当たり前のこと
私もそうですが、何回も辞めたいと思いましたし、今も辞めたいと感じることも多々あります。
理由も様々で、自分自身が失敗したことでも「もう辞めようかな……。」と感じることもあります。
ではなんで辞めないの?と思われると思いますが、自分の中で感じる退職意識を深掘りし、今後に目を向けると退職することではないと判断して辞めていないんです。
そんな私の気持ちの深掘り方法をご紹介したいと思います。
記事を書いた人
なんで辞めたいかを整理する
介護職員をなんで辞めたいのか。以下の理由があります。
*給与が安い。
*介護業務中の失敗からの「辞めたい」。
*人間関係が悪い(ハラスメントを受けるも含む)。
*職場に対して不信感がある(待遇の悪さも含む)。
*他の仕事でスキルアップしたいから。
*業務がきつい(責任が重すぎるも含む)。
*ご利用者に大変な人がいる。
*腰痛や心身の疾患。
あなたが辞めたい理由はこの中にありましたか?
無ければコメントで教えていただけたらと思います。
それでは早速辞めたい理由を深掘りしていきましょう。
結論
「なぜ辞めたいのか。それに対する判断方法とその結論」を表にまとめてみました。
私の介護主任としての経験から導き出している個人的なものもありますので、参考程度に見ていただければと思います。
それぞれの理由に対する詳細は、この表以降に書いていますので、そちらをご覧ください。
*表にある『辞めたい理由』をクリックすると、詳細記事に飛べます
辞めたい理由 | 判断方法 | 結論 |
---|---|---|
給与が安い | 「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」 | 比較検討して判断する。 |
介護業務中の失敗 | 失敗を改善することで成長する | 退職してはダメ。再発防止に取り組むべき。 |
人間関係が悪い | お局・上司・同僚に分けて分析 | ダメ上司・多数の同僚は退職。お局は自滅する。 |
職場への不信感 | 労働基準法を違反しているか | 違反している場合、労働者から搾取意識が高いので退職。 |
他の仕事へスキルアップ | 問題ない | 転職すべき。 |
業務がきつい | 上司へ相談 | 負担軽減、部署異動。対応してくれない場合は退職。 |
大変なご利用者 | 自身のメンタル | メンタルが壊れる場合はまずは休職から。 |
腰痛や心身の疾患 | 主治医の意見 | まずは休職。無理なら退職。 |
給与が安い
介護職員の平均年収は厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」にてR4年9月の調査結果が公表されています。
あなたの働いている事業所は、以下の給与に比べていかがでしょうか?
多いですか?少ないですか?
平均よりも多く給与が出ているのであれば、給与が安いと思われていても「平均よりはもらっている。」と判断ができると思います。
この平均給与以上の給与が必要であれば、職種を変更するほうが良いです。
今回は転職するなら介護職員をするという方のみを対象にしました。(ちなみに介護職員が転職する場合、82.7%の人が介護職員として転職するそうです「マイナビ転職動向調査 2021年版(2020年実績)」。
以下の平均月給は、ある程度判断材料になるかと思いますので、ぜひ検討してもらえたらと思います。
常勤 平均月給 | 非常勤 平均月給 | |
---|---|---|
全体 | 317,540円 | 209,540円 |
介護老人福祉施設(特養) | 348,040円 | 211,260円 |
介護老人保健施設 | 339,040円 | 287,360円 |
介護療養型医療施設 | 276,400円 | —円 |
介護医療院 | 320,700円 | —円 |
訪問介護事業所 | 315,170円 | 219,390円 |
通所介護事業所 | 275,620円 | 168,170円 |
通所リハビリテーション事業所 | 304,790円 | 213,770円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 313,920円 | 216,860円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 287,970円 | 211,700円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 291,080円 | 200,410円 |
介護業務中の失敗からの「辞めたい」
介護業務中に失敗してしまい、「なんて自分はダメなんだ。」「他の人は失敗せずに介助できているのに……」と、落ち込んでしまいますよね。
など、自分で自分の失敗を責めた結果「この仕事、私には向いていないんだ。」「私なんか介護をやめた方がいいんだ。」という思考になりがちです。
失敗したら辞めるべき?
結論から言うと、気持ちはわかりますが失敗しても辞めないでください。
なぜなら、介護の仕事は失敗がつきものですし、失敗を改善することで成長できるからです。
これは介護の仕事だけで言えることではなく、他の仕事でも同じです。
「失敗は成功のもと」という言葉もある通り、人は失敗をして成長するということです。
なぜ辞めたい気持ちになるのか
介護業務中の失敗は、ご利用者に直接怪我をさせたり、最悪の場合命に関わることもあります。
これは自分だけしか痛い目を見ない失敗であれば考えないのですが、痛い目にあっている人がご利用者や他人に影響している失敗は自分を責めてしまいがちになるからです。
私の経験から言えること
私も経験がありますが、自分のミスがご利用者の命に関わる影響を与えた場合、本当に辛いものです。
警察からの事情聴取も受けますので、「なんて大きな失敗をしてしまったんだ……」と起きてしまったことの重大さを受け入れることができず、辞めたくなる気持ちも痛いほどわかります。
ただ、あなたが介護職員を辞めたとしても、また他の人が同じミスをするかも知れません。
つまり退職しても何も解決しないのです。
それであれば、あなたは退職するのではなく、再発防止するために常に意識して業務を行い、新人職員にはそのことをきちんと伝えていくことがあなたの責任だと思います。
人間関係が悪い(ハラスメントを受けるも含む)
退職理由の中でも一番多い理由であり、人間関係に悩むという壁は、大きくて突破が難しいです。
人間関係と一口で言っても、さまざまな原因がありますので、一つずつ整理してみましょう。
お局(職種問わず)
どこの職場にもいると思います。明らかに周りの職員と比較してパワーバランスのおかしい人です。
それは看護師の場合もあれば、超ベテラン介護職員の場合もあります。
このようなタイプのいわゆるお局は、他人のミスなどに容赦なく攻撃してきます。
他人の悪口も平気で言ったり、明らかにその人の言葉や態度で職場全体の雰囲気が悪くなっている状態です。
あなた自身に危害が無ければ無害ですが、いつ自分が攻撃対象になるかわからない怖さもあります。
私の経験で言えば、お局は遅かれ早かれあなたの職場から居なくなります。
どんなにパワーのある人でも、そのような悪影響を与えている人はいずれバチが当たる日がきます。
そのため、あなたがその日まで耐えれるか耐えれないかということになります。
また以下のような考え方や現象もあります。
そのような、お局という悪に対して周りの職員の結束力は、謎の強さが発生します。
そのような結束力があって、他に不満が無ければ耐えてもいいかと思います。
しかし、結束力もなく、お局からのいじめを受ける場合は救いが無いです。
精神的に病んでしまわないうちに退職した方が、あなたのためになります。
上司
「上司ガチャに失敗」これは、いくら周りの職員がみんないい人達であっても、労働者としては何も得がないです。そしてご自身の努力でどうにかなる問題でもないですし、その上司の上司もヤバい人の可能性もあります。
そのため上司が明らかにダメな人であれば、退職した方がいいです。
中には「自分が出世して、職場環境を変えてやる!」と頑張ろうと思われる方もいると思います。
しかし、これは時間がかなりかかりますし、最悪の場合出世しない場合もあります。
私の場合は自分が出世したので、職場環境を変えていったタイプなんですが、それには時間もかかりましたし、大変な労力も必要でした。
確かに頑張った分だけ自分のスキルアップにはなりましたが、正直お勧めしません。
明らかに上司がパワハラをする人であったり、部下の労働力を搾取する姿勢があれば、はっきり言って全く得はないので他の事業所へ転職した方が良いと思います。
同僚
職場の同僚と喧嘩して仲が悪い。
挨拶しても無視される。
理不尽に注意される。
このような同僚が一人でもいた場合、仕事に来るのが嫌になりますよね。
例えば複数人の同僚からいじめられる場合は、即刻退職した方がいいです。
このような状況を放置している上司にも問題があり、問題が複数ある可能性が高いからです。
逆に一人の同僚から悪口を言われる場合、あなたが取り合わなければ問題ありません。
一人の同僚が周りにあなたの悪口を言っても、誰も取り合わない状況が伺えるので、きっとその人が勝手に自滅するでしょうから。
職場に対して不信感がある(待遇の悪さも含む)
例えば職場で倒れたり、通勤中の運転で事故をした場合、労災になることは明らかなのに「労災ではない」と主張してくる職場であったり、コロナウイルスで自宅療養が必要なのに「休まずに出勤してこい」と指示を出してくる。
聞いていて「え??」となるような職場は実際に存在しますし、ご自身が弱っているときにそのような変なことを言われても「いやいや、おかしいでしょ!」と対応することも難しいです。
他にも労働基準法を明らかに違反する場合など、私も多々経験があります。
この場合、個人的にはとても辞めたくなりますし、正論を言っても話にならない場合もあります。
職場に不信感を持ったまま働くことは、とてもしんどいものです。
私の場合は、職場に対しておかしいと思うことが、自分自身に大きく不利益になることでなければ辞めるべきではないと考えています。
大きく不利益になることで代表的なものは以下のものが挙げられます。
*残業代を支払わない。またはサービス残業が横行している。
*休憩時間がない。休憩時間はご利用者を見守りしながらすることを強要している。
*有給休暇を申請しても「時季変更権を使うから、その日の有給休暇は認めません。」と言われる。
このような介護事業所であれば、退職して当然です。
介護職員から搾取する経営者なので、退職すべきだと思います。
他の仕事でスキルアップしたいから
自分の可能性を他で発揮したい。
これは是非退職しましょう。年齢も関係ありません。
退職理由としてもそのまま上司に伝えても問題ありません。
とても良いことですが、退職を引き止める上司が現れるのが唯一のめんどくさいポイントだと思います。
負けずに退職の意思をしっかりと伝えて、ご自身の可能性を引き出してください。
業務がきつい(責任が重すぎるも含む)
例えば夜勤が体力的にしんどい。
業務を詰め込みすぎて、忙しすぎる。
年齢を重ねれば、無理もできなくなります。
業務がしんどくて退職することは変なことではないですし、甘えでもありません。
ただ、すぐに退職するのではなく、その旨を上司などに相談してからにしてください。
上司は「だったら、このような業務内容に変更しましょう。」としてくれるかもしれません。
私の経験で言えば、「特養の職員で夜勤がとにかくしんどい。」という声があれば、夜勤回数を減らしたり、夜勤業務自体の負担軽減に取り組んだり、そもそも特養での業務がしんどい場合は通所介護事業所への異動を提案したりと、上司は手を打てることがたくさんあります。
なるべくなら同法人で働けた方が、給与体系も同じで損することなく働き続けることができます。
そのような提案もなく、負担軽減などの改善もしないような事業所であれば、退職した方が良いです。
ご利用者に大変な人がいる
この退職理由を聞いて、「え?そんな理由で辞めるの?」と思われる方もおられると思います。
ですが、本当にこの理由で辞められる方もおられます。
ご利用者との相性が悪くて、勤務毎に不穏になってしまう。
どうしても苦手なご利用者なので退職したい。
このような理由は、当人にとっては本当に辛いものです。
辛くてメンタルが壊れるのであれば、退職すべきだと考えています。
メンタルで言えば、別にご利用者がきついなどの理由でなくとも、精神的に耐えられない場合は退職ではなく休職という手段もあるので、これも上司と相談したり心療内科や精神科医に相談する方が良いと思います。
腰痛や心身の疾患
これは先ほどの「ご利用者に大変な人がいる」と同じく、ご自身の健康に害となる場合は退職するのではなく、休職する方法もあります。
主治医と相談し、自らの健康が改善して働けるように行動することが一番です。
私はこんな感じで、介護職員がブラック介護施設から抜け出して、少しでも幸せに働けるようになれるような情報をブログ記事にて書いています。
他にも記事がありますので、読んでいただけたら嬉しいです。
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