平均最低賃金いつから1000円?【介護職員への影響は?】

介護トレンド

2023年7月28日、厚生労働省の審議会で最低賃金の全国平均引き上げを、41円引き上げて時給1002円にする方向でとりまとめました。
このことで介護業界への影響がどう出るのか介護職員の暮らしは楽になるのか。この視点で考察してみました。

私は介護業界で介護職員として20年働いている現役介護職員です。
特養の介護主任としても10年携わっているので、介護現場と経営者の両方の考え方ができるレアな人物です。

ハピケア【ブラック施設を耐え抜いた人】

ブラック施設を耐え抜いた、約35名の部下を持つ現役介護主任です。
現在は以下のように、ホワイト施設に変えました。

*お局からのパワハラからの解放
*見守りしながらの休憩時間の撤廃
*残業代請求できない・有休取れない圧力の除去

私は、
・特養で20年
・介護主任歴10年
・介護福祉士、ケアマネの資格所有

労基法を学んで、改善を徹底してきました。

ブラック介護施設……そこから抜け出すには勇気と力が要ります。
そんな心からつらい想いをされてる介護職の方に勇気と力を与えたい。

介護職員の「辞めたい」を解決できるような情報を発信するブログです。

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介護施設への影響は?

介護事業所は介護報酬によって売り上げが変わります。
どれだけ頑張っても介護報酬が国によって決められているので、収益が上げにくいという特徴があります。
これは、国の方針によって経営が左右されるということです。

今回最低賃金が全国平均1002円となったことで、人件費が上がることが考えられます。
そうなると介護事業所の収益が国の方針でそのまま据え置きなので、現状の物価高騰と人件費増により介護事業所の経営はかなり厳しくなることが予想できます。

いつから上がる?

異議申し立てがなければ、10月1日から発動になります。

経営者の手腕

ここで問われるのが介護事業所経営者の手腕です。
単純に考えて介護報酬に依存している経営方針では、今後経営は成り立っていきません
そこで介護報酬以外の収益を上げる必要があり、それに尽力している介護事業所が生き残っていくと考えられます。

この収益事業ですが社会福祉法人も認められており、収益事業で得られたお金は社会福祉事業に回しても良いです。

そのため介護事業所は、介護報酬に依存しない経営を求められています。これは昔から懸念されており、国も社会福祉法人であっても収益事業を経営しても良いことはかなり前から言われていました。

社会福祉法人における 収入・収益の取扱いの現状

厚生労働省

収益事業の実情

実際に社会福祉法人が収益事業をどのくらい取り組んでいるか。統計が出ています。
結果として、約77%の社会福祉法人が社会福祉事業しか経営していないことがわかります。
正直、なぜ収益事業にとりくまないのか。理由は全くわかりません。

社会福祉法人の現況報告書等の集約結果(2021年度版)

WAM NET

経営者の甘え

先ほどのデータでわかるように社会福祉法人の経営者は、できる努力を行っていないことがわかりました。
このことからも今回最低賃金が1002円にアップし、人件費が厳しい状況となったとして、経営者が言うのは

「人件費率が上がったから、ボーナスはなし。」
採用も積極的にできない。人手不足だろうが現場の介護職員に頑張ってほしい。」

というような、経営者の甘えが聞こえてくるでしょう。

介護職員の暮らしは楽になるのか?

常勤の介護職員に関しては、最低賃金が上がったからといって関係ないです。
パートさんに関しては、現状低い賃金で働いている方にとって影響は出ますが、それも月に7000円くらい収入が増える程度です。

また、介護業務への影響ですが、先ほども説明した通り、採用に消極的になることで慢性的な人手不足がさらに加速します。
有給休暇が取りにくくなったり、残業の増加(サービス残業も考えられる)、一人当たりの介護職員にかかる負担はさらに増えることが予想できます。

つまりブラック介護事業所のブラック度がアップすることが懸念されます。

解決方法は?

介護職員がこの状況を解決させる方法は、『ちゃんと収益事業も行って、稼げている社会福祉法人へ転職すること』しかありません。
「経営者の考えを変えて、勤めている施設の発展をしていく!」という考えの方もおられるかもしれませんが、私の経験上、経営者の考えを変えることは残念ながら不可能です。これは先ほどの「社会福祉法人の現況報告書等の集約結果(2021年度版)」からもうかがえます。

介護職員のこれから

私の経験ですが20年前は、「介護職員として雇われ、これから需要が上がっていく業界なので、待遇も良くなってくるはず。」と考えていました。
しかし、ただ待っていても良くならないことがハッキリしましたし、経営者の手腕によって現場の介護職員が搾取されることにも気づきました。

これからの介護職員は、勤め先の介護事業所の経営手腕を評価した上で就職することが大切だと思います。
経営者として最低限の努力もしないで、介護職員に「ご利用者のために、もっと頑張れ!」と言ってくるような職場だと感じたら、他の勤め先を探しましょう。

それには今回の記事のような、介護事業所の経営的な側面も現場介護職員は知っておく必要があります。
今回の記事が、現場で介護業務を行っている方の幸せにつながれば幸いです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

私はこんな感じで、介護職員がブラック介護施設から抜け出して、少しでも幸せに働けるようになれるような情報をブログ記事にて書いています。
他にも記事がありますので、読んでいただけたら嬉しいです。

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