最近仕事でやる気が出ない……。
体がだるくて、休んでも疲れがとれない……
急に悲しくなったり、ご利用者からのトイレの訴えや、食事介助で全く食べてくれない状況に対して無性にイライラしたり……
夜勤明けなのに眠れなかったり、「楽しい」「嬉しい」などの感情が無くなったり……
心当たりのある方は、精神的な健康=メンタルヘルスを崩している可能性が高いです。
この記事では、介護職員の心が辛くなった時にやるべきことを解説します。
記事を書いた人
わたしは介護職を20年しており、現役の介護主任です。
『メンタルヘルスマネジメント検定 Ⅱ種 ラインケア(管理者)コース』という資格も取得しています。
資格を取るだけでなく、実務でメンタルを崩した部下を対応し、現場復帰に導いた経験もあります。
そんな長い経験と得られた知識から、「精神的に病んでしまった……」という方が救われるような記事ですので、ぜひ最後まで読んでいただけたら嬉しいです。
心が辛くなった時、やるべき一つのこと
働いていて心が辛くなり、「仕事に行きたくない」と心から感じた時、対処する方法は一つしかありません。
それは「病院に行く」です。
「何を当たり前なことを言っているんだ?」
「病院に行かなくても対処できる方法を知りたいんだ!」
と感じた方がおられるかもしれません。
しかし、心の病気かもしれない状態なので、速やかにお近くの心療内科または精神科病院へ受診することが、最も大切な対処方法です。
「病院に行かずに自分で対処しよう。」と思われている方、それは大きな間違いです。
心の病気は自分でどうにかできるものではないですし、まずは病院へ行って今の心の症状を診断されないと、何も始まりません。
介護職員の精神障害リスクの高さ
わたしを含めて介護職員が精神障害になるリスクは、一体どのくらい高いのでしょうか?
それを表すデータがあります。
厚生労働省の令和4年度「過労死等の労災補償状況」で、介護職員が精神障害で労災申請した人数は、なんと全職業中5位という結果でした。
表2-3-2 精神障害の支給決定件数の多い職種(中分類の上位15職種)
厚生労働省:令和4年度「過労死等の労災補償状況」
職種(中分類) 請求件数 1 一般事務従事者 442(291)
〈26(8)〉2 保健師、助産師、看護師 171(150)
〈5(5)〉3 営業職業従事者 162(60)
〈19(1)〉4 商品販売従業者 142(85)
〈4(0)〉5 介護サービス職業従事者 129(100)
〈6(3)〉6 自動車運転従業者 128(98)
〈5(0)〉7 社会福祉専門職業従事者 123(98)
〈2(0)〉8 製品製造・加工処理従業者(金属製品を除く) 99(29)
〈6(1)〉9 接客・給仕職業従事者 89(48)
〈5(2)〉10 運搬従業者 75(26)
〈6(0)〉注 1 職種については、「日本標準職業分類」により分類している。
2 ( )内は女性の件数で、内数である。
3 < >内は自殺(未遂を含む)の件数で、内数である。
全業種となると、『社会保険・社会福祉・介護事業』が1位です。
表2-2-2 精神障害の支給決定件数の多い業種(中分類の上位15業種)
厚生労働省:令和4年度「過労死等の労災補償状況」
職種(中分類) 請求件数 1 社会保険・社会福祉・介護事業 327(249)
〈12(4)〉2 医療業 294(223)
〈13(6)〉3 道路貨物運送業 147(39)
〈10(0)〉4 総合工事業 95(25)
〈12(3)〉5 情報サービス業 85(30)
〈5(0)〉6 飲食店 81(39)
〈2(1)〉7 その他の事業サービス業 80(40)
〈2(0)〉8 その他の小売業 68(34)
〈2(0)〉9 輸送用機械噐具製造業 67(14)
〈12(0)〉10 学校教育 62(36)
〈7(4)〉注 1 職種については、「日本標準職業分類」により分類している。
2 ( )内は女性の件数で、内数である。
3 < >内は自殺(未遂を含む)の件数で、内数である。
つまり、介護職員が精神障害になるリスクは、他の職種と比べても高いことが言えます。
「自分は大丈夫。」
「ストレスないから問題ない。」
本当に大丈夫でしょうか?
わたしの経験上、ある日突然症状が出る時もあります。
しかも、精神障害はうつ病だけではないです。
そして、精神障害の人は『自分が今、精神障害だ』と自覚することがとても難しいです。
だから一番大切なことは、心療内科または精神科病院へ受診するということなんです。
精神障害を患った部下への対応【わたしの体験談】
どれくらい精神障害を自覚するのが難しいかというと、私の体験談でお伝えできればと思います。
わたしは部下を35人持つ介護主任です。
ある時、ひとりの部下が急に業務への不安が強くなり、全く動けなくなりました。
本人にはとりあえず休んでもらいましたが、数日後には本人から「出勤します」と言われました。
とりあえず出勤してもらいましたが、やはり不安が強く体が動かない症状に。
心療内科への受診を勧めましたが、本人は「もう少し様子を見てから……」と。
明らかに無理をしている状態で、どうしても受診はしたくない様子だったので、本を買い漁ってその人の心の症状が適応障害に当てはまっているということを伝えました。
本のわかりやすいページで説明すると、「本当だ…自分は心療内科に受診した方がいいんですね…」となり、医療へつなげることができました。
今でもその部下は、心療内科に通いながらも退職することなく働き続けています。
この時の経験がきっかけで、『メンタルヘルスマネジメント検定 Ⅱ種 ラインケア(管理者)コース』という資格取得しました。
どうしても病院に行きたくない人には私の体験談を……
「そう言われても病院に行くほどではない。」
「なんとか自分でどうにかできる方法はないか。」
そう感じている方、それは私と全く同じです。
私の体験談をお伝えすれば、何かヒントになるのではないかと思います。
わたしの体験談
介護主任になる前は、普通の介護職員からフロアリーダーへ。
チームを動かすことの難しさを実感する日々でした、
役職を与えられることは、スキルアップになると思い頑張ってきました。
一度ケアマネの資格取得にてリーダーを降り、数年経過してから現在の役職である介護主任を任命されました。
介護主任としては今年で丸10年になります。
主任になるにつれて、さらに広い範囲での責任を持つという変化。
日常的にお局からのパワハラに耐えながら、なんとか業務をこなす辛さ。
それでも前向きに取り組んで、前任の介護主任の仕事のやり方も身近に見てきた上で、自分らしいやり方で主任業務を行い、慕ってくれる部下に助けられる毎日を送っていました。
急に訪れる心の辛さからの脱出
様々なトラブルを受けながら、なんとか主任を頑張っていた8年目。
急に心が辛くなってきました。
すでに辛いことは大体経験してきたはずの私ですが、突然心が辛い状態に襲われました。
何が原因かわからず、人の目を見て話せなくなり、自信が全くなくなってしまいました。
これはやばいと思い、以前から気になっていた本を書店で購入しました。
その本は田中圭一さんの『うつヌケ』という本です。
この本は17名の「うつ病になってから抜けるまでのエピソード」を漫画にした本です。
手塚治虫タッチの画風がとっつきやすく、とても読みやすい本です。
一番はうつ病という症状とはどんなものなのか。
どう付き合うのか。
ということがわかりやすく描かれています。
この本を読んだ私は、「そんなに頑張らなくてもいいんだ。」「辛かったら辞めてもいいんだ。」と思えるようになり、みるみるうちに心が軽くなっていきました。
まずは心の病気のことを知るためにも、読みやすいこの本を読んでみましょう。
私の対処方法
この本をきっかけに、心の辛さを回復するための方法として、軽いランニングをしました。
不安なことがあって、自信を失ったら本を読みました。
このように
*運動で気分を回復
*読書で自信を回復
二つの方法で、私の心はなんとか病院に行かずに保っている状態です。
しかし、この方法は私個人の方法なので、全く合わない方もおられると思います。
とりあえず試すにはちょうど良い方法だと思いますが、試してダメだった場合は病院受診をお勧めしますし、私も今のコントロールができなくなれば病院受診をします。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
このブログでは、介護職員の「辞めたい!」を解決する記事を書いています。
特に今の施設がブラックすぎる方、ぜひ他の記事も読んでください。
今のブラックな職場環境から抜け出し、あなたらしく働ける第一歩となりますように。
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