【介護職ワンオペ夜勤の休憩時間】嘘と法律違反で成り立つやりがい搾取経営

退職

ワンオペ夜勤とは「1オペレーション夜勤」の略で、特養などの施設系介護事業所で行われている夜勤のことです。
たった一人で全ての業務を行う夜勤なので、事業所の中には以下のような法律違反を行なっているところがあります。

  • 夜勤中の休憩時間なし
  • 休憩時間がない分の残業代の未払い

この二つは明らかに労働基準法を違反しています。
この現実を見ても「うちの職場は休憩時間はあるから大丈夫。」と思われている方でも騙されている可能性があります。

つまり、『介護職自身が搾取されていることに気づけていない』ということです。

この記事でわかること
  • 介護施設のワンオペ夜勤をしている介護職員が、搾取されていることに気づくことができる。
  • どのくらい搾取されているかが理解できる。
  • 搾取された労働の取り戻し方がわかる。
ハピケア【ブラック施設を耐え抜いた人】

ブラック施設を耐え抜いた、約35名の部下を持つ現役介護主任です。
現在は以下のように、ホワイト施設に変えました。

*お局からのパワハラからの解放
*見守りしながらの休憩時間の撤廃
*残業代請求できない・有休取れない圧力の除去

私は、
・特養で20年
・介護主任歴10年
・介護福祉士、ケアマネの資格所有

労基法を学んで、改善を徹底してきました。

ブラック介護施設……そこから抜け出すには勇気と力が要ります。
そんな心からつらい想いをされてる介護職の方に勇気と力を与えたい。

介護職員の「辞めたい」を解決できるような情報を発信するブログです。

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気づこう!「業務がない時間は休憩時間」という嘘

ワンオペ夜勤でよく言われるのが
「夜勤で業務のない時間が休憩時間。自由にしていいけど、ナースコールが反応したら対応するように。」

これは完全に嘘であり、明らかな法律違反をしています。

確かに業務はないので、一見休憩時間ととらえてしまいそうになります。
しかし、ナースコールがあれば対応するということは、その場に待機する必要があり自由ではありません

休憩時間の自由とは、職場から出て行っても構わない時間のことです。
その時間は完全な自由ということなので、待機させて必要に応じて対応させることは、全て労働時間です。

嘘・法律違反の根拠

労働基準法 第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇(第三十二条-第四十一条の二)によると、

休憩時間は職務から離れて、完全に自由にできる時間のことです。

(休憩) 第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織す る労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない

中央労働災害防止協会(中災防)安全衛生情報センター

こんな場合は休憩時間ではない

ナースコール対応

こんなこと言われたりしてませんか?

お局
お局

「休憩時間はちゃんと設けてる。ただし、ナースコールが鳴った時だけ対応するように。」

アホ上司
アホ上司

「休憩時間でナースコール対応した時だけ、労働時間としてその分の給与を発生させる。」

この2つの扱い方は、そもそも休憩時間ではありません。

絶対的な条件として、法律で『休憩時間を自由に利用させなければならない』とされています。
この二つの意見は、どちらも「休憩時間中に何かあったら対応するように」という指示です。

つまり待機時間ということになるので、休憩時間ではありません

他にも「休憩時間だけど、ご利用者の見守りだけしてて。」という指示も同じです。
心当たりのある方は、休憩時間を労働したことによって発生した残業代が支払われていない可能性があります

休憩時間が不要な宿直者

夜勤を宿直として扱う事業所もあると思います。
確かに宿直であれば先ほどの労働基準法の適応外となり、休憩時間は不要になります

お局
お局

「うちは宿直だから、休憩時間は設けなくていいの。」

断続的な宿直又は日直勤務については、労働基準監督署長の許可を受 けることにより、労働基準法で定める労働時間、休憩及び休日に関する 規定の適用を除外することができます。

厚生労働省

しかしこの宿直、条件があります。
その条件に当てはまっていなければ、宿直ではないので休憩時間が必要になります。

宿直の条件
  • ほとんど労働をしない業務であること。
    定期巡回や緊急の電話を受けること。非常事態に備えての待機に限ること。
  • 本来 業務の始業又は終業時刻に密着してはダメ。
    通常の労働の継続は許可されません。
    宿直明けに続けて日勤業務はダメ。日勤業務に続けて宿直業務をしてはダメということです。

これに対して、反論する事業所もあります。

アホ上司
アホ上司

「社会福祉施設では、夜尿起こしや軽介助は宿直の業務として認められている!」

社会福祉施設の場合

通常の勤務時間の拘束から完全に解放されたものであり、夜間に 従事する業務は、一般の宿直業務のほかには、少数の入所児・者に対して行う夜尿起こし、おむつの取替え、検温等の介助作業であっ て、軽度かつ短時間の作業に限ります。

厚生労働省

ここで言う「軽度」とは、おむつ取替え、夜尿起こしであっても要介護者を抱きかかえ る等身体に負担がかかる場合は含まれません。

また、「短時間」とは、介助作業が1回の勤務中に1~2回を限度として、1回の所要時間が通常10分程度のものです。

おそらく特養のワンオペ夜勤であれば、この「軽度」と「短時間」には全く当てはまらないと思います。
つまり、事業所側の「宿直だから休憩時間は不要説」はデタラメということです。

休憩時間を取るように指示している

お局
お局

「休憩時間を取るように指示している。現場介護職員が勝手に休憩していないだけ。」

アホ上司
アホ上司

「休憩が取れない状況を作っている、現場のリーダーが悪い。」

恥ずかしながら、私の勤める特養の経営者の実際の言葉です。

このように、休憩が取れていない状況に対して現場の介護職員のせいにする無責任な経営者がいます。
休憩時間を設けるように指示するだけで、実際には休憩時間が確保できていない状況。

これも完全に法律違反です

休憩時間を設定していたり、指示していたり。ちゃんと問題を把握して対応している気になっているだけです。
休憩時間は実際に取れているのか、取れていないのかが重要です。

一番明確な状況とは、休憩回しのないワンオペ夜勤です。
職員配置上、休憩時間が取れるようになっていないので、この主張は完全にアウトです。

現場の介護職員だけに責任を押し付けているような事業所はには近づかないようにしたいものです。

未払いの残業代の確認方法

休憩時間が無いことが明らかとなり、自分が事業所から搾取されていることがわかっても、実際に搾取されているかどうかを確認する必要があります。

  • 給与明細
  • 源泉徴収票

この二つの書類が根拠になりますので、捨てずに保管しておきましょう。

詳しい残業代の請求方法の記事です。

どのくらい搾取されているか

休憩時間が無いということは、1回の夜勤で1時間の超過勤務が発生しています。

ご自分の基本給と手当金額を足したものを、月の労働時間である172時間で割り、1時間あたりの賃金を出してください。
その時間に割増賃金が追加された額が残業代となります。

また、残業代の支払い義務の事項は3年なので、3年以上休憩時間のない勤務形態が続いているのであれば、3年分の計算をしてください。

時給が1000円だとしても、かなりの金額になると思います。
そのお金を受け取る権利は、実際に労働をしたあなたのものです。

受け取れていない状況というのは、「経営者から搾取されている」ということです。

まとめ

介護職のワンオペ夜勤では、休憩時間が確保されていない場合があります。
その違法性に気づいていない方が多く、搾取されていることにも気づいていない場合もあります。

  • 休憩時間は自由が確保された時間
    休憩時にナースコール対応や電話応対など、待機させている状態は自由ではなく休憩時間ではありません。
  • 宿直は休憩時間が不要という嘘
    宿直はほとんど業務を行わないことが条件で成り立つものです。
    介護施設のワンオペ夜勤は、この条件には当てはまりません。
  • 「休憩しないのは介護職員が悪い」という無責任
    休憩を取らせることは法律で決まっています。
    実際に休憩できていなければ、超過した労働時間に残業代を支払う必要が法律で決まっています。
  • 休憩時間無し=1時間の残業代が発生している
    残業代支払い義務の時効は3年。割増賃金も加える。
    あなたに支払われるべきお金が支払われていません。

最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。
このブログでは、介護職20年のブラック施設を耐え抜いた私が、介護職員の「辞めたい」を解決できるような情報を発信しています。

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